スポンサーサイト

--.--.-- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

触れることすら赦されぬ

2015.07.06 (Mon)
 「王位継承権を、あなたに」
 月明かりの中、ふと彼女が口を開いた。
 一瞬、言われた言葉の意味がわからない。
 「は?」
 「私が受け継いでいる王位継承権のすべてを、あなたに」
 「何を・・・」
 真っ直ぐな瞳で見つめられて、その深い青に俺はいつも魅惑される。
 「姫」
 「姫と呼ばないでって、いつもそう言ってるでしょう」
 セレスティアと、名前で呼んで、と、彼女はいつも屈託なくそう言う。
 が、騎士団の長官ともあろう者が、ベルスの王位継承権を受け継ぐ姫君を、その名で呼び捨てることなど、不敬罪で投獄されかねない。それはいいが、俺の彼女への尊崇の念がそれを許さない。
 「私の血を、あなたのものにしたい・・・」
 彼女はもうすぐ、誰か、選ばれた男と分血の契りを交わす年頃だ。
 それをわかっていて、一体何を・・・。
 俺の脳裏を、かすかな希望がよぎる。
 王位などが欲しいわけではない。
 俺は、ただ、彼女が・・・。
 「私が王位を継いだら、あなたにそれを譲ります。だから――」
 「姫」
 俺は反射的に「姫」と、そう言って彼女の言葉をさえぎった。
 「それ以上、戯れを口にされてはなりません。私のような下賤な――」
 「それ以上自分を卑下しないで」
 今度は彼女が俺をさえぎった。この凛とした響きを持つ声、その場を支配する声は、彼女が生まれ持った高貴なる者の響きだろう。
 「どうして・・・。私はこんなにあなたを慕っているのに・・・」
 顔と顔が触れ合いそうな距離で囁かれても、俺は引くこともできず、かと言ってそのまま彼女をかき抱いて口づけることもかなわない。
 「どうして私はあなたと契ることが赦されないの・・・?」
 ぱたりと、蒼穹の瞳から涙がこぼれた。
 「あなたと結ばれるためなら、私は受け継いだもののすべてを放棄します」
 「姫・・・」
 「だから、お願い、私をここから連れ出して・・・私はあなたと共に生きたい・・・!」
 彼女は俺の胸に顔をうずめて、静かな絶叫を伴うような、振り絞るような声で叫んだ。
 俺のこの腕の何と無力なことか。
 彼女を抱くことも、その涙の流れる頬に触れることすら赦されない。
 彼女を護ると、そう誓った。
 それなのに、俺は彼女を愛してしまった――。
 悟られぬよう、気取られぬよう、その手に触れることすらせずに今まで――。
 それが、彼女を悲しませている。尽きぬ涙を流させている。
 彼女のためと、いつまで言い訳ができるだろう。
 彼女を悲しませたくはない。そのためには、今まで沈黙させていたこの思いを告げなければならない。
 俺には、そんな資格があるだろうか。
 自衛のためとは言え、何人も人を殺めてきた。
 彼女と結ばれるなら、本当に彼女と分血の契りを交わさなければならない。
 俺に、そんな資格が・・・?
 

 この国の行く末も何もかもすべて放棄して、ただ二人で生きることができたなら――?
 そんなことが、赦されるのだろうか。


 「セレス・・・ティア」
 その呼び声に、彼女は驚いて顔をあげた。
 「俺は――」







 『赤の紋章』超“if”!!
 もしもエレナが王宮で育っていてジェフが長官のままだったら!!
 そんで二人が相変わらず両片思いだったら!!
 最後はジェフが何と言ったのかはご想像にお任せします( ̄∀ ̄)
 ホントはこの続きもあるんですけどねー。
 裏になるのでやめます(笑)。
 書いてもいいけど、本格的な裏になるし後味も悪い話になりそうな予感がするので。
 これはこのままでいようかな。
 もしも読みたい!って方がいらっしゃいましたらお声掛けください。
 書くかもしれません。


にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

トラックバックURL
http://rainy0dusk.blog.fc2.com/tb.php/992-5a96bdc0
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。