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暴動 2

2013.08.08 (Thu)
 ジェフとウィルは、王城へ入ると二手に分かれた。
 頑丈に防備された玉座の間にエレナはいると踏んだジェフが、玉座の前にいるであろう王族の人間を請け負った。
 一方ウィルは、城中を駆け回ることにした。
 「生きて戻れよ!!」
 「あんたもな!!」

 コルニクスはエレナの元へやって来た。
 「来い」
 エレナの手を縛り上げ、エレナを引っ立てた。
 「皆がお前の為に血を流しているぞ」
 コルニクスは回廊から、外の戦場の様子を見せてやった。
 騒乱の中、王族の人間を前に、何人もの人間が血を噴いて倒れてゆく――。
 満月の夢の中の光景そのものだった。
 「もうやめて!!」
 エレナは届かぬ声と知りながらも叫び声をあげた。
 もう死なないで。誰も――。
 しかし、その声に気がついた民もいた。
 「あそこだ!!王女がいるぞ!!」
 二階の回廊を指差し、叫んだ。民衆は王族の人間をなぎ倒し、城へと侵入し始めた。
 エレナはその姿に勇気付けられた。
 こんな所で捕まっている場合ではない。
 コルニクスも王族の人間だ。
 男女の差こそあれ、しかし自分は皮肉にも王家の人間なのだと自分に言い聞かせた。
 そして、手を縛られたまま、エレナは飛び上がってコルニクスの頭を蹴りつけた。
 コルニクスはまさかの抵抗になす術を知らず、その場に倒れこんだ。
 エレナは自分を縛っている戒めを弾き飛ばし、動きにくいドレスを脱ぎ捨て、真っ白な肌着になって駆け出した。
 長い長い回廊を、どことも知らず走り続けた。
 そして――。
 「エレナ!!」
 ウィルだった。
 「ウィル!!」
 エレナは泣きながらウィルを抱き締めた。
 「無事でよかった・・・!」
 「お前こそ」
 「お願い、みんなを止めて。もうやめて!!」
 「もう誰にも止められない。お前以外には。行くぞ!!」
 ウィルはエレナを掴んで走り出した。
 しかし、王族に行く手を阻まれた。
 ウィルはエレナを後ろに追いやり、剣を構えた。
 「この先の玉座の間にジェフがいる!行け!!」
 「いやよ!!あなたを置いて行けないわ!!」
 ウィルは振り向き、エレナに口付けて笑った。
 「本気で愛してたんだぜ?」
 そして、「行け!!」と、エレナの背中を押した。
 エレナは武器もなく、なす術もなく、言われた通りに走り出した。
 ウィルはエレナが逃げるための時間を稼ぎ、しかし、そのままそこで命を落とした――。
 
 コルニクスは意識を取り戻した。
 「あの小娘っ・・・!!」
 まあいい。
 王女の生死などもはや知ったことではない。
 それより、国王を殺すのだ。
 コルニクスは玉座の間の避難口から中へ入った。
 「陛下」
 その手には長い剣が握られていた。
 「おお、コルニクス、無事であったか」
 そのとき、ウィリデウスが突然血を吐いた。
 ようやく、毒が回ってきたようだ。
 ウィリデウスはのた打ち回り、血を吐き続けた。
 ビクビクと痙攣し続ける国王のその頭の上に、コルニクスは足を載せた。
 「この愚か者」
 「コっ、コル・・・!!」
 ぐりぐりと頭を踏みにじりながら、コルニクスは冷徹な笑みを浮かべた。
 「わっ、私は・・・っどうなってっ・・・」
 「王家の人間は不死とでも思ったか。貴様の酒に、毎晩毒を盛ってやっておったわ」
 「貴様っ・・・!!」
 「どうだ、苦しみながら死にたいか。一息に殺して欲しいか」
 ウィリデウスの痙攣ががくがくと激しくなった。
 この分だと、自分が手を下すまでもなく、この愚かな国王は息絶えるだろう。
 コルニクスは玉座に腰掛け、ウィリデウスの死に逝く様を見物した。
 
 ジェフは王族の人間に囲まれて手古摺っていた。
 「生きていたのかレヴィナス!!」
 「おかげさまでな!!」
 斬っても斬ってもキリがない。
 自分もそうであるが――。
 ようやく一人の首をはね落とした。
 しかし、ジェフの疲労も色濃く、一瞬の隙ができた。
 次の瞬間、腹の辺りを、相手の剣が貫通した。
 「ぐッ――!!」
 これまでか、と思ったとき、自分の他に剣を振るう音が聞こえてきた。
 「エレナ!!」
 「王女・・・!!」
 「もうやめて!!剣を置いて!!」
 王族の人間たちは、凄まじい怒りと殺気を放つ王女の前になす術を知らず、言われた通りに剣を置き、跪いた。
 「この人に手出しすることは私が許さないわ」
 威厳のある声――。
 「しかし、この者は逆賊――。逆賊は死罪に値します」
 「なら私も逆賊よ」
 そのとき、玉座の間から高笑いが聞こえてきた。

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