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暴動 1

2013.08.08 (Thu)
 コルニクスは、セレスティアが戻ったことに内心不快な思いを抱いていた。
 しかし彼は、徐々にウィリデウスに毒を盛っていた。
 身体に蓄積し、ある日死に至る毒だ。
 もうすぐで王家の滅亡をその目で見ようというときに、正統な世継ぎが現れたのだ。
 しかし――。
 相手は女だ。よその国へ嫁がせて、王国を物にしたらよいではないか。
 コルニクスは、ウィリデウスの胸に揺れる王家の紋章を思い浮かべた。
 あの大きな紅玉で作られた紋章が我が物になる日も近い。

 しかしコルニクスは知らなかった。
 あの赤い紋章をその首にかけることができるのは、王位継承者だけだということを。

 クレストは、こっそりとエレナの元にやって来た。
 エレナがあまりに暴れまわるので、エレナは豪奢な部屋に置かれても、鎖につながれていた。
 エレナは自由を求めて旅立った船のことを思い、涙を流していた。
 「痛むのですか」
 エレナは無視した。
 「セレスティア王女・・・」
 「その名前で呼ばないで・・・!!」
 エレナはやり場のない憎しみを込めて言った。
 「あなたは、残酷な運命の上に置かれている」
 クレストはエレナの向かいに腰を下ろした。
 「今までどうやって生き延びてきたのです?」
 「あんたに関係ないわ」
 「あります。紋章官一族のことはご存知ですか?私は――」

 一方、動き出した民衆の波はどんどん広がり、国の半数の人間が暴動に加わっていた。
 行く先々で、動揺する騎士団の砦に火を放っては、踏み潰し、また自らの仲間からも犠牲を出しながら前進し続けた。
 民衆の勢いは衰えるどころかいよいよ強さを増していった。
 
 「何ですって!?」
 クレストの話を聞き終えると、エレナは驚きに声を上げた。
 「はい。そうです」
 「ジェフはそれを知っているの?」
 「ジェフ?なぜジェフが・・・?」
 そのとき――。
 バタンッと扉が開いて、若い騎士が入ってきた。
 「民衆が暴動を――」
 「何だと!?」
 クレストは立ち上がった。
 「王女を返せと叫びながら――、先程、城塞の門を破られました」
 そんな――。
 「五王族の者が応戦していますが、民の数が多く――」
 「わかった。私も出よう」
 「やめて!!」
 王女を返せ・・・?
 みんな、私のことを知って・・・?
 王族の強さは、エレナもよく知っていた。
 ジェフのあの強さも。
 しかし、クレストも王族の人間となれば、一体何人が犠牲になるかわからない。
 もう、やめてほしかった。
 エレナは自分の為に死んでいく人々のことを思って嗚咽を漏らした。
 なぜこんなことになったのか――。
 自衛のためとはいえ、今まで自らも人を殺めてきた己の行いを悔いた。
 一人取り残されたエレナは、鎖に繋がれたまま、ただ泣き続けるしかなかった。

 「無事か!!」
 背中合わせにいるウィルに、ジェフが叫んだ。
 「ああ、何とかな!!」
 剣が鳴る。
 人々の阿鼻叫喚の中、民衆は血路を開いて、ついに城までたどり着いた。
 「エレナを探せ!!この中にいるはずだ!!」
 城門を打ち砕きながら、民衆は叫んだ。
 
 コルニクスは城の外の騒ぎを聞きつけ、動揺すると同時にこれを好機と捉えた。
 民衆がなだれ込んできたら、国王を殺そう。
 民衆の仕業にしてしまえばいい。
 王女を返せというならば、返してやろう。その方が好都合だ。
 そして自分は騒乱を治めた正統な王者となるのだ――。
 コルニクスは狂気に満ちた高笑いをあげた。

 国王ウィリデウスは、城の騒乱に右往左往していた。
 「陛下、玉座の間へ!!」
 衛兵がウィリデウスを取り囲み、王城の最奥にある玉座の間へ連れて行った。
 頑丈な鍵をいくつもかけ、その外には多くの王族の衛兵が置かれた。
 「何としても私の命を守るのだ!!平民になんぞくれてやらんぞ!!」
 ウィリデウスは扉越しに怒鳴った。
 しかし、騒乱の物音が近付いてくるにつれ、怖気づき、玉座の後ろに逃げ込んだ。

 
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