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握り締めたその手の中に

2015.01.24 (Sat)
 決して自信の意欲からではない、自衛の為、民の為、多くの命をその手で奪ってきたジェフも、今まさにその罰を受けようとしていた。
 剣を持つ手が震えたのは初めてだった。
 自分の命を自ら絶つことへの恐怖ではない。
 初めて心から愛した女性をその手にかけることへの恐怖、己の非力さに対する口惜しさ、彼女をこれから襲うであろう苦しみを想像し、ジェフの手は震えが止まらなかった。
 しかし蛇毒に胸の内から犯されているエレナはもはや虫の息に近い。
 彼女の望み通り、エレナを彼の手で殺めなければ、何もかもが無に帰す。
 このままただエレナを看取れば、エレナを殺したのはクレストだということになる。
 その者を最も愛したる者の剣によってのみすべてが赦される――。
 エレナを殺し、この国の負の連鎖のすべてを食い止められるのは、自分しかいない。
 「こんなこと頼んで・・・本当に・・・ごめんなさい・・・」
 ジェフの震えを感じ取ったのか、エレナが彼の耳元で、ほとんど聞き取れないような声で囁いた。
 どうしてこんな残酷な罰を受けさせなければならないのか――。
 これから己の身に襲い来るであろう激痛に身構える様子もなく、ただジェフを愛おしそうに抱きしめているエレナの横顔を見て、彼は神々の残酷さを呪った。
 何より、彼女を自由にしてやれない己の非力さを――。
 もしも自分が、エレナに対して「自分を殺してくれ」と頼むことになったら、どれほどの葛藤を味わうだろうとジェフは思った。
 愛する者をその手にかける苦しみを、自分が愛した者に背負わせなければならない。
 それでもエレナは、この王女は、民を滅亡から救うため、ジェフに懇願した。
 「殺してくれ」
 と。
 どうして断れようか。
 自らの命も、心さえも犠牲にして、民の命を救おうとしている彼女の願いを。
 ジェフは震える手で、彼女の細い身体を抱きしめるように、もう一度剣を構え直した。
 剣の刃を直に掴んだ右手から血が滴る。
 「・・・エレナ、愛してる」
 それだけは、その一言だけは、もう一度彼女の心に伝えたくて、最期に囁いた。
 そして、一息にエレナの身体ごと、自分の心臓をも貫いた。
 
 不思議なことに、ジェフは一片の痛みも感じなかった。
 鉄の冷たささえ感じなかった。
 ただ、エレナへの愛だけを感じていた。
 二人の身体が地に崩折れ、血溜まりができ始めるのを目にした。
 ジェフは意識が遠のき、命が事切れるその刹那、エレナの手を強く握りしめた。
 この手だけは、絶対に放さない。
 そして、エレナの胸元で輝いていた紅玉の首飾りが、高い音を立てて粉々に砕け散るのを見届けた。
 その瞬間、細い細い糸で繋がっていたエレナの命は、とうとうその最期を遂げたのだと知った。
 深い眠りに引き込まれていくような感覚の中、ジェフは最期の力ですでに事切れたエレナの手を握り締めた。

 俺に愛を教えてくれて、ありがとう――。
 愛してくれて、ありがとう――。

 そしてジェフは、永遠の眠りについた。





ジェフとエレナの最期のシーン。
本編であんまりだらだらやると天井崩れるよってか殺し合いが止まらないYO!
ってなるので、こっちに持ってきました。
すごい時間が経っているようですが、ジェフが剣を構えてからの一瞬の想いです。

ついでにジェフもヤンデレではありません(^^;)
「二度とお前を見失わない」
と約束したので、その約束を守る為にエレナと最期を遂げる選択をしました。

なーんかこんなラストでよかったのかなーとホントにつくづく思います(-_-;)


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