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自由の船 1

2013.07.18 (Thu)
 次の日、ジェフとエレナとチャドの三人は、アルフェンドラの一座に暇を告げた。
 「本当に行っちまうのか?みんなお前との舞をアテにしてんだぜ?」
 アランが寂しそうな声を上げた。
 「ごめんなさい、急に。でも、また会えるわ」
 「元気でね」
 サーシャもこのときは笑顔で三人を見送った。

 三人は入り江にやって来た。
 入り江では、急ピッチで船の建造が進められていた。
 すぐにでも出航できそうな勢いだった。
 エレナはウィルを初め、船大工や仲間たちにチャドを紹介した。
 「彼も乗せていってあげて」
 お願い、と、エレナは言った。
 「もちろんだ。だが、ちょいと手伝ってもらうぜ」
 「ああ!もちろんだよ!ありがとう!!」
 チャドは入り江の船の仲間入りをした。
 「お前も乗る気か?」
 ジェフはエレナに尋ねた。
 「いいえ。私はここで、まだやることがあるわ」
 「そうか・・・」
 だけど、と、エレナは言った。
 「空のように自由に生きろと、誰かに言われた覚えがあるの。この国で生きるより、大陸で生きた方が自由なのかもしれないわね・・・」
 セレスティア――。
 彼女の本当の名前だ。
 天空の舞姫。
 宝玉の姫君たるディーウィティアがつけた名だ。
 そんな生まれた瞬間の記憶はないかもしれないが、親子の絆というものがあるのだろう。
 ジェフはエレナに真実を告げる決意が揺らいでいるのを感じていた。
 私情でこんなことがあってはならないと、頭でわかっていても心が乱れる。
 ――俺としたことが・・・。

 それから十日ほど、ジェフとエレナも船の建造を手伝った。
 そして、いよいよ出航の準備が整った。
 「エレナ」
 アダムがやって来た。
 「もういつでも出航できる。子どもたちを連れてきてくれないか」
 「ええ。わかったわ」
 「子どもたち?」
 ジェフが尋ねた。
 「あの孤児院の子たちよ。全員じゃないけど、何人か希望した子がいたわ」
 「そうか・・・」
 エレナとジェフは馬車を調達し、孤児院へ向かった。
 「エレナーっ!」
 常のごとく、エレナは子供たちの熱烈な歓迎を受けた。
 神父に挨拶をし、エレナは希望者の子供たちを馬車に乗せた。
 その中にはジュリアもいた。
 ジュリアは大陸で子供たちの面倒を見るため、船大工の仲間たちと相談して乗船が決まっていた。
 「お船は大きいの?」
 子供の一人が尋ねた。
 「さあ、どうかしら」
 ジュリアは微笑んだ。

 馬車が入り江に着くと、子供たちは大はしゃぎだった。
 「すごーい!」
 「かっこいい!!」
 極秘のうちに出向する為、月がなくなる新月の晩と決められていた。
 出航するとなれば、早いうちがいい。
 その二日後が、新月だった。
 二日間、食料の調達など、最終的な準備を済ませ、そのときを待つことにした。
 「ジュリア、こちら、チャド。私たちの友人よ」
 エレナがジュリアにチャドを紹介した。
 「こんにちは。初めまして」
 ジュリアが微笑んで挨拶したが、チャドはその場に立ち尽くしたまま、固まっていた。
 そして、何を言うかと思いきや、
 「けっ結婚しよう!!」
 突然プロポーズした。
 チャドはジュリアに文字通り一目惚れしたのだ。
 そのあと、チャドはジュリアを口説き続けた。
 やがては、驚ききっていたジュリアも笑顔になり、チャドとの結婚を承諾した。
 「大陸へ行ったら結婚しよう」
 二人はそう堅く約束した。
 新月の前の晩は、別れとチャドとジュリアの婚約の宴となり、入り江は静かながらも幸せな空気に満ち満ちていた。
 
 しかし、エレナが尾行されていたことに、ジェフですら気がつかなかった。
 
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