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ジェフの旅路

2013.03.18 (Mon)
 ジェフは騎士団の検問が敷かれている街道を避け、野山を通ってオプタリエを抜けた。
 その途端に賞金稼ぎや夜盗に目をつけられ、何度も危うい目に遭った。
 「お前な!!」
 ある夜、自分を襲ってきた夜盗と剣を交えながら言ってやった。
 「俺が金なんか持ってると思ったら、大間違いだぞ!!」
 夜盗はジェフの剣の前に、声もなく崩れ落ちた。

 しかし、オプタリエから離れ、その先に続く砂丘に近づくにつれ、生きた人間の気配も減って行った。
 もはや人が住める環境にない域に足を踏み入れたのだ。
 人目につくとまずいので、馬は連れず、徒歩での旅だった。
 砂丘の先からは次第に原生林が広がり始め、北方では見られない花が咲くようになった。
 二千五百年前、初代の王家も、島中をあまねく旅したと言われる。
 先人達もこの景色を目にしたのか――。
 ジェフは茂みを掻き分けながら先へと進んだ。
 やがて足元が岩場へと変わり、ジェフは不意に崖に出た。
 断崖絶壁のそこからは、広く青い海がどこまでも広がっていた。
 ジェフは絶壁がなだらかになる東に回って崖を降り、広い浜辺に出た。
 波の音だけがこだまするその場所には、見たこともないような美しい花に混ざって、純白のリエンゼルが群生する茂みがあった。
 この国が楽園だと言われる所以がそこに広がっていた。
 
 ここが、すべての始まりの場所――。

 この場所に、かつての長老の一族――、現在の王家の一族がやって来たのだ。
 そして、彼らがファリガーナと契約を交わした場所――。
 ジェフはどこまでも続く広い海を前に、頭を垂れ、祈りを捧げた。

 ――『この島の守護神、ファリガーナよ、どうか我らの行く末を見守り、国民(くにたみ)を守り給え』――。

 ジェフはしばらくそうしていたが、やがて顔を上げ、近場の洞窟に入った。
 自分の一族の始祖も、この場所にいたのだ。
 古文書を書いたのは現在のオプタリエの近くでのこととされているが、数々の謎と最後の章を読み解く手がかりがあるかもしれない。
 ・・・あっても、波に流されていそうだな。
 ジェフはぼんやりとそんなことを思いながら辺りをくまなく歩き回った。
 しかし、やはり何の収穫もなかった。
 ただ、この島の本来の姿、その壮麗さと優美な様は、ジェフの目と心に、深く深く刻み込まれた。

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