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王女の行方 1

2013.04.14 (Sun)
 一方、宮廷では、ジェフの言ったとおり後妻が娶られていた。
 国王ウィリデウスが法を改正し、後宮に勤めていた愛人も王妃となる権利を与えられた。
 そこで当然、マグダレーナが王妃の座に就いたが、子供に恵まれることはなかった。
 いつしか聖堂を初め、宮廷内では、ディーウィティアの娘、セレスティアが生きているのではないかと噂になった。
 ウィリデウスは不安に駆られ、心を病んでいった。
 二千五百年続いた王朝もこれまでか。
 コルニクスはほくそ笑んだ。
 しかし、万が一にも、王女が生きていたなどという事実があってはならない。
 王家が滅亡した後、その後釜にありつくのはわが執政家なのだ。
 王女の行方を探るにはどうしたものかと、このところつらつらと考えをめぐらせていた。

 一方ジェフは、盗賊の居所を突き止めた。
 日が上ってからのことだった。
 単身その隠れ家に乗り込み、盗賊を片っ端から斬って捨てた。
 ただし、止めは刺さず、重症、で済む程度にしておいた。
 そして最後に残った盗賊頭を問い詰めた。
 「攫った子供はどこだ!?」
 「し、知らねえ!!」
 「嘘をつくな!!」
 「本当だ。子供はみんな人攫いの連中に売った。嘘じゃねえ!!」
 売っただと――!?
 「その中に女の子供がいただろう。髪の長い少女だ」
 「いたかもしれねえ」
 「その子は生きていたか?」
 「子供はみんな生きたまま売った。わかったら剣をどけろ!!」
 「お前たちの過ちを思い知れ」
 ジェフは盗賊頭の首だけを刎ねた。
 
 結局、人攫いの一団を見つけることはできず、エレナの生死も不明のまま、ジェフは一旦チャドの元へ戻った。
 チャドはまだぐったりしていたが、それでもジェフを見ると立ち上がった。
 「大丈夫か」
 ジェフは井戸から水を汲み、チャドに飲ませてやった。
 「エレナは――?」
 「見つけられなかった」
 「・・・血の臭いがする」
 チャドはジェフをよくよくと見た。
 「すごい血じゃないか!!あんたこそ大丈夫なのか!?」
 「大丈夫だ。・・・俺の血じゃない」
 チャドは恐ろしそうな顔をして、それ以上追求しようとしなかった。
 「これからどうするつもり?」
 「エレナを探す。見つけるまで」
 「どうやって?」
 「・・・わからない。お前はこれからどうするつもりだ」
 「俺は・・・またどこかの村に入って働かせてもらうよ・・・」
 チャドは肩を落とした。
 「なら、王都に近い街に、大規模な農園がある。その主人と俺は顔見知りだから、紹介してやろうか」
 「本当!?」
 チャドは嬉しそうな顔をしたが、ハッと気がついた。
 「でも、あんたお尋ね者じゃ・・・」
 「そうだ。だが、あの人は恐らく俺を信じていてくれているだろう。数少ない俺の信用できる人だ」
 「王都の近くって、そこまでたどり着けるのか?危なくないのか?」
 「・・・この返り血を見ろ」
 お前には二度と人の血を見せたくないが、と、ジェフは肩をすくめた。
 「・・・サルトゥスは、おしまいだね・・・」
 しばらくして、チャドが言った。
 「ああ・・・。しばらくすれば、国が処理に来るだろう。農民たちは今以上に辛い立場におかれることになるだろう」
 「・・・・・・」
 
 一月後、ジェフはチャドを連れて王都の近く、リアトリスの街に入った。
 ジェフは布を顔に撒きつけ、行商人の変装をしていた。
 夜、ジェフは農園主の家の扉をノックした。
 「誰だ」
 中から中年の男の声がした。
 「俺だ」
 ジェフはそれだけしか言わなかったが、慌てて鍵を外す音がした。
 「ジェフ!!」
 「シーッ!!黙れ馬鹿!!」
 ジェフは慌てて農園主の頭を押さえつけた。
 「ああ、すまねえ。一体、何があったんだ?そいつは誰だ?どうしてここへ?」
 「質問攻めにするくせも変わらないな、ハンス。とりあえず入れてくれないか」
 「ああ、そうだな」
 ハンスは禿げ上がった頭を撫でながら扉を大きく開けた。

 「・・・というわけで、俺は無罪なんだが信じてくれるか?」
 ジェフは一族のことはさておき、謀反を起こそうとしたという手配書は全くの嘘だと説明した。
 「信じるも何も、お前の言葉は信じなきゃならねえだろ。俺の息子の恩人だ」
 「あんた、ここでも恩人なのか?」
 チャドが小さな声で尋ねた。
 「ジェフは、俺の子供が人攫いに攫われそうになったところを助けてくれた偉ーい騎士様よ。ああっと、今では違うのか」
 「ハンス、遅くなったがこいつはチャドだ。俺の友人だ」
 「ハンスだ。よろしくな」
 「チャドです」
 二人はテーブル越しに握手して挨拶を交わした。
 「俺の住んでいた村で、酷い事件があって村が壊滅した。チャドはその生き残りだ」
 「酷い事件・・・サルトゥスか?」
 「なんだ、もう知っているのか」
 「ああ。何でも、隣村の謀反の巻き添えを食らったって聞いてる」
 「・・・大体事実だな。だが、その隣村の農民たちの怒りも尤もなところだ」
 ジェフは伯爵家と盗賊のつながりを話してやった。
 「なんてこった!!」
 ハンスは息巻いた。
 「そんなことが本当にあるんだな!?」
 「ああ。間違いない。俺が盗賊頭に直接聞いた」
 「盗賊頭に?」
 ハンスは目を丸くしたが、ジェフは気にせず続けた。
 「それで、チャドをあんたの農園でチャドを雇ってくれないか」
 「ああ、お安い御用だ。猫の手も借りたいくらいなんでな」
 王都の周辺は、城壁の付近と違って気候がいいため、年中様々な作物が取れる。
 「それで、お前はどうするんだ?」
 「俺は、ちょっと探しものがあるんで、その辺をウロウロする」
 「まーたうろうろか。まあお前がうろうろしてくれてたお陰でうちの息子は助かったんだがな」
 「そういうわけだから、俺は今すぐにでも出なきゃならない。わかってると思うが、俺と会ったことは――」
 「ああ。誰にも話さんよ」
 「恩に着る。チャドを頼んだ」

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