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盗賊の運命(さだめ) 2

2014.12.14 (Sun)
 「そんな話、本当にあるのかよ!?」
 ジェイクの言葉に、周囲がざわついた。
 「あるんだ。これが初めてじゃないそうだ。昔、ウェトゥムという村でも同じことが起こっていたそうだ。俺のダチが騎士団にいる。そのことは知ってるな?」
 「ジェイク」
 一人の仲間が、ジェイクの話を遮って声を上げた。
 「言っちゃ悪いがまさかそいつ、俺達を一網打尽にして手柄を上げようとか思ってるんじゃないか――?」
 「そいつは、王族や国を良く思ってない」
 ジェイクはそんな反論を予期していたように冷静だった。
 「世襲で騎士団にいるが、心から辞めたがってる。俺は何年もあいつの話を聞いてきた。ジャックが賞金首になったとき、俺達の手引きをしてくれたのもあいつだ。あいつは絶対に信用できる。俺が保障する」
 盗賊団のカシラなどをするだけあって、そのときのジェイクの言葉と声の響きには、それ以上の反論を許さないという威圧感があった。
 「何より、俺達が一番王族を憎んでるんじゃないのか?」
 そこに集まった彼らは、王族から何らかの虐待を受けたことがある者がほとんどだった。
 「俺はその都の町――、ディーウィトゥムを救いたい。だが、かなりでかいヤマになる」
 ジェイクは重々しい口調で言った。
 「いつだったか、衛兵が王族だった館があったよな。フィーリガルデだったか。あのときより酷いことになるだろう。俺達の中から死人が出るだろう。・・・それでも、俺は連中を潰したい」
 その言葉に、全員が居住まいを正した。
 今回伝令石を使わずにジェイクが皆の下をその足で訪れた理由は、これだ。
 今回ばかりは死ぬかもしれない仕事の依頼を(もっとも、盗賊として動くときは常に死と隣り合わせだが)、伝令石による招集で片付けたくなかったのだろう。
 「今回は、死ぬ覚悟があるやつだけでいい。特にエレナは――」
 と、ジェイクは辺りを見回して、初めてエレナがいないことに気がついた。
 「エレナは?」
 「あいつは今、都にいる」
 「都に?・・・だったら、わざわざ知らせてやる必要もないか」
 エレナには危険だと、ジェイクは言ったが、ウィルはそうは思わなかった。
 「いや、あいつは、この中の誰より王族を憎んでる。知らせずに俺達だけでやったりしたら、そっちの方があいつは悲しむ」
 「だが今回ばかりは、もしかしたら全員が死ぬかもしれないんだぞ?」
 「挙句の果てに」
 ウィルは自嘲気味に笑った。
 「この中で一番強いのは誰だ?」
 その言葉に、誰もが苦笑を漏らした。
 「エレナだ。エレナがいれば、俺達の被害も少なくて済むかもしれない。あいつもそれを望むはずだ」

 「もう耐えられないのよ、置いていかれるのが」

 あの言葉がウィルの脳裏をよぎったが、何も知らずに自分達が全滅したときの方こそ、あいつは絶望するだろうと、ウィルは確信していた。
 「多数決だ」
 ジェイクも苦笑を漏らしながら言った。
 「エレナに取りあえず知らせるだけでも知らせたいやつは手を挙げろ」
 ほぼ全員が手を挙げた。
 「決まりだな。ウィル、連絡を取ってくれ」

 それからウィルは、すぐに伝令石を使って鳥を飛ばした。
 そしてその五日後、エレナが帰ってきた。
 「何があったの?」
 仲間達が一様に沈痛な面持ちでうつむいているところに、エレナは問いかけた。
 「貴族の連中が、他の盗賊団と手を組んで農村から金を巻き上げてる」
 「なっ・・・」
 ジェイクの説明に、エレナは言葉を失った。
 「しかも、かなりでかい組織だ」
 「どうするの?」
 「まず貴族の館を襲う。そして金品を奪い返す」
 ウィルが言った。
 「それから組織をつぶしに行く」
 「・・・いいわ」
 エレナはうなずいた。
 「・・・今回は、死人が出るだろう」
 ジェイクが再び口を開いた。
 「え?」
 「双方に、だ。それくらい、でかいヤマだ。俺はお前の同行に反対だ。だが多数決でお前に知らせることになった。お前がいやなら今回は留まって構わない」
 「・・・わかったわ。行くわ。当たり前でしょ」
 エレナの頼もしくも無謀な返事に、ジェイクはため息をついた。

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