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五番目の王女 3

2013.03.17 (Sun)
 「ルーカス、馬鹿な考えはやめろ」
 ジェフがルーカスの前に立ちはだかった。
 「・・・その子は・・・誰なんだ?本当に王女なのか?」
 聞かれてしまった以上仕方がない。
 「・・・すまないが、聞かれてしまった以上、お前たちを巻き込むぞ。全てを話す」
 ジェフは二人に部屋に入るよう促した。

 アールが休診の札を出し、施療院のすべての扉に鍵をかけた。
 「すべては、最初の王家の物語まで遡る」
 ジェフは古文書を取り出し、そのページを全員に見せながら話し始めた。
 「この島が太古の昔は神々の領域にあったことは以前に話したな?その頃の話だ」
 長い話だった。
 ジェフがすべてを語り終えたときには、日も傾き始めていた。
 「・・・この赤ん坊が、その五番目の王女、セレスティアだ。間違いない」
 ジェフはそう言って、話を締めくくった。
 「じゃあ、エレナは・・・」
 「嫌よ、私はそんな、この子を殺すなんて絶対に嫌よ!!」
 アリスは話の途中からボロボロと涙をこぼしていた。
 「古文書の全てはまだ読み解かれていない。俺はこれからそれを読み解く為に旅に出る。この子にそんな運命を歩ませたくはない」
 「・・・・・・」
 ルーカスは、ただ一人、身じろぎもせず黙っていた。
 「ルーク・・・この子が憎いの・・・?」
 アリスが泣きながら尋ねた。
 「・・・エレナだ。その子はセレスティアなんて名前じゃない。エレナだ」
 「ルーク・・・」
 アリスは嬉しそうに微笑んだ。
 ジェフ自身、なぜ今日見たばかりの赤ん坊をこれほどまでに大切に思うのか、自分が理解できなかった。
 しかし、何としてもこの赤ん坊は守らなければならない。
 その思いだけは変わらなかった。
 「時折ここへ戻ってこようと思う。この子が成人するまで、この村で守ってやってもらいたい」
 「もちろんよ」
 「ああ、もちろんだ」
 全員が頷いた。
 「・・・この子にはいつその話をするんだ?」
 「成人してから・・・可能ならば、そう思っている」
 「それでも・・・、十八歳でそんな話聞かなきゃならないなんて、かわいそうだ・・・」
 チャドは落ち込んだように言った。
 「今の俺とほとんど変わらない年だもの・・・」
 「いいか、この子が王女だということは、絶対に内密にしてくれ。王家へ戻らされたら首が飛ぶだろう」
 「わかったわ」
 アリスが胸に抱いたエレナをぎゅっと抱き締めた。
 「だけど、あなたはこの子が無事かどうか、気にならないの?何年もかかる旅なんでしょう?」
 「王家ではこれから、後妻を娶るだろう。しかし、エレナが生きている限り、王家に子供は生まれない。王家の世継ぎは、一人が生きている限り、次の世継ぎは生まれない。俺はそれを標に旅をしようと思う。何年かに一度は顔を出す」
 「ああ、そうしてくれ。私たちもあんたの安否が気がかりだ」
 アールが頷いた。
 「俺は大丈夫だ。その子のことは、頼んだぞ」 

 それからジェフは、長い長い旅路へとついた――。

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