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国土について

2013.02.25 (Mon)
 ベルスの王国は、非常に複雑な地形をしている。
 北方に、消えることのない雪を頂く山脈が聳え立ち、国の中ほどまでを豊かな水源で満たしている。
 国土のほぼ全土で、四季折々に多くの花が咲き乱れ、豊かな水と安定した気候の恩寵を謳歌していた。

 その山脈を背にし、小高い丘の上の平野に、王家の住まう、王都カルブンクルスがある。
 王都は非常に美しく、石造りの堅固な城塞にぐるりと囲まれている。
 人々はその壁を、スペレッシオ――“守りの壁”と呼んだ。
 王家はかつて行われた戦の惨劇を忘れることはなく、
 万が一再びこの国が他国から攻め入れられるようなことがあれば、
 民をこの城塞の中へ呼び込み、剣を合わせることなく、平和裏に和平を打ち立てようと願われ、作られたものであった。
 スペレッシオの外は、標高は少し下がり、肥沃な土地が広く広くどこまでも広がっており、
 農工民や商人が自由に住み、行き交い、また唯一の港から外国との貿易も盛んに行われていた。
 ベルスの民は、王族に非常な敬意を払い、季節を問わず、多くの農作物や細工物を献上した。
 また王族もそれに応え、平民には自由と、王国護衛騎士団による安全な生活を与え、非常に豊かで、
 かつ平和な王国を築き上げていた。
 港の外れから、肥沃な大地から痩せた土壌にに変わる土地の周辺にも、
 島を横切る巨大な城壁がぐるりとめぐらされていた。
 これを“オプタリエ”――『願いの壁』と呼ぶ。
 王家はかつて行われた戦の惨劇を忘れることなく、もし再び戦が起きたとき、
 民を苦しめ、悲しませることのないよう、願われて作られたものであった。
 また王国護衛騎士団も、万が一の時に備え、日々鍛錬を積んでいる。
  
 オプタリエの外は、乾いた大地、岩山、砂丘、深く生い茂る原生林など、
 人の住むことのできる環境ではない土地が広がっている。
 島の南端から西には断崖絶壁の岩山が続き、港以外から国内に侵入することは不可能だ。
 そしてオプタリエの外の僅かに残された人の住める土地には、
 罪人や盗賊など、国を追われたものたちが棲み付き、
 騎士団の統制も利かぬ、無法地帯と化していた。
 彼らはオプタリエに侵入し、略奪を繰り返すものもあれば、
 何とか城壁内に住む者と繋がりを持ち、内密に働かせてもらうか、物乞いをする生活を送っていた。
 ただ、彼らも、城壁から遠く離れることはできなかった。
 それほどまでに、城壁の外の環境は、人間にとって厳しいものであったのだ。
 その代わり、人間に荒らされることのない、豊かな自然が広がっている。
 それを目にしたものは少ないが、国土の全てを見渡したものは、みな同じことを口にした。

 「この国は楽園だ」

 と――。



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