First and Last

2015.03.31 (Tue)

連載中
Bloody Crest side Will

first and last
このお話は本編を違う人物の目線で追って書いたものなので、
本編、及び『Lady of Sky』と台詞がかぶる場面があります。
ご了承ください。


■プロローグ   

■第一章
 鍛冶職人と盗賊
 剣戟
 盗賊仲間
 故郷
 凶器を生む手
 エレナの贖罪


■第二章
 ジェフリー・レヴィナス
 盗賊の運命(さだめ)    
 エレナの決意
 重なる不幸
 焦り  


 ■第三章
 出国を禁ず
 自由の船   


 ■第四章
 セレスティア  
 ベルスの真実
 ウィルの決意
 暴動
 最初で最後の
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First and Last あとがき

2015.03.02 (Mon)
『赤の紋章』ウィル編、『First and Last』終了しました!!
いかがだったでしょうか。
作者としてはかなり満足がいっているのですが。
本編が60点だとすると、ウィル編は80点。エレナ編(『舞姫』と略します)は45点(笑)。
台詞は『舞姫』や本編とかぶるものがありますが、
心理描写は『舞姫』よりはいけたはず。
というかすごく入り込みやすかったウィルの心境。
『舞姫』が一番大変だったな。45点なだけあるよ。
神様の降臨もなかったしツンデレだし。
今書き終えた直後なんですが、自分で言うのも何ですがなんも言えねえ。
自画自賛。すみません。

しかしウィルってこんなやつだったんだ!
『赤の紋章』本編をお読みくださった方は最初からわかっていただけたと思うのですが、
ウィルも死んでしまうキャラなので、書いててすっごい切なかったです。
エレナにかなわぬ想いを寄せているところも。
本編書いてるときはジェフが一番不憫だと思ったのですが、
『First and Last』書いたらウィルが一番かわいそうなんじゃないかと思えてきました。
だって、だってウィル!!ああもう!!

本編より心理描写も頑張ったつもりです。
『舞姫』とかぶるところもありますが、
それなりに白紙の状態から書けたので、書いてて切なくも楽しかったです。

あ、『First and Last』だけお読みの方は、ジェフとエレナがどうなったのかわからないと思います。
なのでどうぞ本編をお読みください( ̄∀ ̄)ノ

短いですがこの辺で。
すみませんちょっとウィルって死なせてよかったんだろうかと悶々としてきました(^^;)
ご感想などお寄せいただけたら光栄に思います!!
ここまで読んでくださってありがとうございました!!

新澤りお

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エピローグ

2015.03.02 (Mon)
 ジェフとエレナの死とともに、すべてが終わった。
 島のすべての人間の胸に重い衝撃が走り、その死がガラスを通してみるようにまざまざと眼前に広がった。
 中庭で戦っていたジェイクの心にも、仲間であったエレナの死が見えた。
 エレナはウィルの手にかかってその命を捧げたのではなかった。
 ジェフという、エレナの古い知り合いだった。
 彼もまた、エレナと共にこの世を去った。

 ウィルの思いは届かなかったのか――。

 届いたとしても、ウィルには彼女をその手にかけることなどできなかっただろう。
 ジェイクもすべての力を失い、剣を地面に突き刺した。
 瞬間、それは土となって大地に還った。
 この島の言い伝えは本物だった。
 ジェフが自分を含む盗賊たちに話して聞かせたように。
 ふと見上げれば、ジェイクが先ほどまで鍔迫り合いをしていた衛兵の剣も朽ちて大地へ還っていった。
 衛兵は何ともいえない表情で、くず折れたジェイクを見下ろしていた。
 「・・・まだ俺を殺したいか」
 ジェイクは衛兵を見上げた。
 「・・・いや・・・。もう、やめよう」
 静まり返った、最後の激戦地となった王城の中庭。
 王妃ディーウィティアが唯一城の中で愛したといわれるそこは、血に染まり、花々は踏み潰されていた。
 そこへ、紋章官一族の末裔を名乗る、クレストという男が、二階の回廊から民衆に語りかけた。
 そして、ジェフと同じように、二千五百年前に招かれた惨劇を話し、この国のすべての災厄は、王家の人間が神との契約を破った、その怒りを買ったものから生ぜせしめられたものだと話した。
 そして最後に、静かに、ジェフとエレナの死を告げた。
 「もう殺し合いはやめよう。それがジェフとエレナの願いだ」
 クレストという男の話が終わると共に、ジェイクが戦っていた衛兵は泣き崩れた。
 「ジェフは・・・、俺がまだ若い頃、騎士団で長官をしていた。尊敬できる上官だった。あの人は逆賊として国を追われた。だがあの人は何も間違っちゃいなかったんだ」
 「ジェフは俺達に多くの望みを与えて、国を変えようとしていた・・・。あんたの言うジェフの様子も簡単に想像がつくよ」
 ジェイクは衛兵の肩にぽんと手を置いて、やおら立ち上がった。
 「どこへ行く」
 「・・・仲間を探しに。エレナを探して城へ入ったはずだ」
 「城内はほとんど王族が守りを固めていた・・・。見つからない限り、望みは――」
 ジェイクはしばらく衛兵を見つめていたが、やがて踵を返して城内へと足を踏み入れた。

 「ウィル!!ウィル!!」
 ジェイクは叫びながら、城内のあちこちを探して回った。
 そして、ある回廊に差し掛かったとき、変わり果てた姿で倒れているウィルを見つけた。
 王族と見られる三人の衛兵が、ウィルを取り囲むように見下ろしていたが、ジェイクはそれに頓着もせずに彼に駆け寄り、 そのぐったりとした頭を抱き起こした。
 「ウィル!!ウィル!!」
 しかし、幾度その名を呼ぼうとも、その瞳が再び開かれることはなかった。
 ウィルの愛刀もまた、彼の身体の下で土へと還っていた。
 「その若者は・・・」
 「俺達が殺した・・・」
 悔恨の念に苛まれている王族が、重い口を開いた。
 「殺し・・・た・・・?」
 ジェイクは絶望に駆られて王族を見上げた。
 「王女を連れて走っていた。だが彼は、王女を先に逃がし、俺達を相手に長い間持ちこたえていた」
 「彼は王女の仲間だったのか・・・?」
 「・・・そうだ」
 ジェイクは溢れようとする涙を必死に押さえ込みながら、ウィルの血に濡れた前髪をかき上げた。
 「こいつはエレナを愛していた」
 「ああ。本気で愛していたと、王女に告げているのが聞こえた」
 「そうか・・・」
 ウィルはようやく、エレナに本気の想いを告げることができたのだ。
 「その若者が、俺達の足止めをしてくれなければ、この国の行く末はおぞましいものに変わっていたかもしれない」
 王族の衛兵の一人も、ウィルの足元に跪き、頭を垂れた。
 「・・・この島からはもう、殺し合いはなくなったんだ」
 エレナが何よりも望んだであろうこと。
 ウィルも間接的ではあるが、彼女の望みをかなえたのだ。
 「ウィルとエレナ、ジェフの葬儀をしたい。手伝ってもらえるか」
 ジェイクは跪いた王族に声をかけた。
 「もちろんだ」
 王族の三人が去っていくと、ジェイクはようやく涙を流した。

 お前は、いつか俺に話したように、エレナを命を懸けで守ったんだな。
 お前たちのおかげで、島からは争いが消えた。
 そしてお前の本物の愛情は、絶対にエレナに伝わったはずだ。
 たとえ、エレナの最期の願いを聞き届けたのがジェフだとしても。
 
 お前の意思は絶対に俺が語り継ぐ。
 絶対に諦めなかったその思いの強さ。
 エレナを手にかけることになるかもしれないと知ったときの絶望。
 そしてやはりそれはできず、エレナをジェフに託す選択をした決断。
 屈辱も絶望も味わっただろう。
 だがそれで終わらせはしない。

 ジェイクは冷たくなったウィルの手を握り締めた。
 「俺達を救ってくれて、感謝の言葉もない・・・。お前の死は絶対に無駄にしない」


 広い墓地に、エレナ、ジェフ、ウィル、そして多くの犠牲者が永久の眠りについた。
 数刻前までは、この世には存在しない、赤いリエンゼルの花がこの国の象徴だった。
 しかし今は、血の穢れのなくなった真っ白その花が、死者に山と手向けられた。
 死者への弔いと共に、清められたリエンゼルが咲き誇り、この国の新たな始まりを象徴していた。

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最初で最後の

2015.03.01 (Sun)
 「ウィル!!」
 走ってきたエレナが、泣きながらウィルを抱きしめた。
 「無事でよかった・・・!!」
 「お前こそ」
 息を弾ませ、その柔らかな身体を抱きしめ返しながら、ウィルは言った。
 これから彼女の命が消え行くと思うと、ウィルの腕にはいっそう力が入った。
 「お願い、みんなを止めて。もうやめて!!」
 暴動の話はエレナにも伝わっているのだろう。
 そして自分が王女であると知った今、彼女の心は千々に乱れているはずだ。
 誰よりも王族を憎んでいたエレナが――。
 その悲痛な声から、エレナがどれほど皆を想っているか手に取るようにわかるようだった。
 「もう誰にも止められない。お前以外には」
 自分自身、残酷なことを告げている事実はわかっていた。
 しかし、エレナはもうこれ以上皆が傷つき死んでいくのを決して赦さないだろう。
 「行くぞ!!」
 ウィルはエレナの手をつかんで走り出した。
 これからジェフに引き合わせなければならない。
 そして、エレナがどんな選択をするのか――。
 考えずとも容易に想像はついたが、ウィルはやはりエレナに死んでほしくなかった。
 このままエレナを連れて逃げ出そうか――。
 そんなことを一瞬考えた。
 しかしそれはすぐに頭から消えた。
 いつかそう思ったように、何も知らずに自分だけ逃げたのだと知ったときこそ、彼女は絶望するだろう。
 何より、この戦いを誰より止めたがっているのはエレナだ。
 それができるのはもう彼女しかいなかった。
 そのとき、回廊の角から王族と見られる衛兵が現れた。
 「いたぞ!」
 「王女だ!!」
 衛兵は口々に叫び、こちらへ走ってきた。
 「くそっ」
 ウィルはエレナを後ろへ押しやった。
 「この先の玉座の間にジェフがいる!!行け!!」
 「いやよ!!あなたを置いていけないわ!!」
 こらえきれずにウィルは振り向き、エレナに口付けた。
 唇を離すと、ぼろぼろと涙をこぼすエレナがいた。
 その涙、その姿のなんと美しいことか。
 この女性を手にかけることなど絶対にできない――。
 「本気で愛してたんだぜ?」
 エレナの涙を拭い、ウィルは笑った。
 自分はおそらく、ここで死ぬだろう。
 しかしそれはもはやどうでもよかった。
 エレナを逃がして幸せにしてやることができなかった。
 それだけが悔やまれた。
 「行け!!」
 ウィルは力強い声でエレナの背を押し、走ってくる王族に向けて剣を構えた。
 一歩、二歩と、エレナが後ずさりして、やがて走っていく足音が聞こえた。
 ウィルはその足音が遠ざかってから一瞬だけ彼女を振り向き、その後姿を目に焼き付けた。
 そしてこれから自分を殺すであろう王族に、猛然と斬りかかっていった。
 走ってきた王族は三人。
 それでもウィルは、エレナが逃げるだけの時間を稼いだ。
 エレナと何度も打ち合いをしているうちに、彼もまたその剣技を磨いていた。
 しかし、腕を斬りつけられ、剣を取り落とし、そして、胸から腹にかけて袈裟懸けに斬られ、最期に胸を剣で突き刺された。
 口から溢れた血が床にこぼれるのが見える。
 それでも、ウィルのまぶたに焼き付いていたのは、走っていくエレナの後姿、涙、そしてどこか悲しみの入り混じった笑顔だった。
 ああ、お前は人を殺して平気なわけじゃなかったんだ。
 今になってお前の笑顔の裏が見えるなんて、俺は今まで何を見ていたんだろう。
 ごめんな、気付いてやれなくて。
 彼女と過ごした日々の残像が走馬灯のように蘇った。
 そして不意に、ずっと昔、サルトゥスで見かけた少女のことを思い出した。

 「エレナ、ウィルだよ」

 薄れゆく意識の中、アールの声が聞こえる。
 ああ、あれはお前だったのか。
 俺達はずっとずっと幼いときにもう出逢っていたんだ。
 お前は覚えているだろうか。
 覚えてないだろうな。
 俺だって今この瞬間になって思い出したんだ。
 だけど俺にとってはお前が、最初で最後の――。

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暴動

2015.02.28 (Sat)
 動き出した民衆の波はどんどん広がり、国の半数の人間が暴動に加わっていた。
 行く先々で、動揺する騎士団の砦に火を放っては、踏み潰し、また自らの仲間からも犠牲を出しながら前進し続けた。
 民衆の勢いは衰えるどころかいよいよ強さを増していった。
 
 「無事か!!」
 背中合わせにいるウィルに、ジェフが叫んだ。
 「ああ、何とかな!!」
 剣が鳴る。
 人々の阿鼻叫喚の中、民衆は血路を開いて、ついに城までたどり着いた。
 もしエレナが捕まっていなければ、エレナのことだ。すぐにこの暴動を聞きつけ、仲間に加わっただろう。
 しかしどこを探してもいない今、もはや彼女が囚われの身になっていることは容易に想像できた。
 「エレナを探せ!!この中にいるはずだ!!」
 城門を打ち砕きながら、民衆は叫んだ。
 そして、ついに城門が開かれ、ウィルとジェフは城に入った。
 「どこを探す!?」
 ウィルが衛兵を斬り倒しながら叫んだ。
 「牢にいるとは考えにくい。おそらく最も堅固なつくりになっている玉座の間に国王共々隠されているはずだ!」
 「もし他の部屋にいたら!?」
 一瞬の思案の後、ジェフは叫んだ。
 「二手に分かれよう。俺は玉座の間へ行く。あそこは王族の連中が守ってるはずだ。お前は城中を駆け回ってくれ。そしてもしエレナを見つけたら――、俺のところへ連れてきてくれ。真実を話す」
 「あいつまだ知らないのか!?」
 ジェフに殺してくれと頼むことになることを――。
 「自分が王女だということは話した。だがその先はまだだ」
 「・・・わかった」
 そうしてウィルは駆け出した。
 「生きて戻れよ!!」
 「あんたもな!!」
 ウィルの背にジェフが声をかけ、振り向きざまにウィルも返事をした。

 城を駆け回っていても、衛兵とはほとんど出くわさなかった。
 外の騒ぎを治める為、皆出払っているのだろう。
 長い長い回廊を走り、部屋から部屋を覗いて回った。
 そして二階の回廊を走っているとき、真っ白な服に身を包んだエレナが走ってくるのを見つけることができた。

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